その名にふさわしくない物件
物件にはそれぞれ独特の名前がつけらている。
たとえば西岡さんであれば、英語にしてしまうというパターンでウエストヒル、地形と地名を組み合わせた名前であればヒルズ高峰などがある。
繁忙期を前にした秋口のこと。その家主様がやってきた。
ドアを開けていきなり、
「%△?&$Ω*(よく聞き取れなかった)です。 部屋が空くのでお願いしま~す。」
「は、はい」
名前も良く聞き取れず改めて聞こうと話しかけようとしたところ、続けざまに
「去年はね。何戸か決めてもらったけね。(北九州弁:もらったからね)今年も決めてもらわないといけんけ(北九州弁:いけないから)チラシまで持ってきたよ。」
心の中では
「わかった、わかったからこちらから聞きたいことを聞かせてくださいよ。」
と思っていた。
その家主様は年頃60歳前くらいのめがねをかけた小太りの女性で、顔は白く・・・いやピンク・・・白地にピンクの・・・とにかく化粧が濃かったことを非常に覚えていた。
その体系をかわいく表現した物件名だったのだろう。
「ひよこハウス」
そう思わないとなぜそういう物件名にしたか、まったく「ひよこ」に「ハウス」を組み合わせたかがフシギでたまらない。
ちなみにその物件を一回だけ紹介した。各部屋が隣の部屋とつながっていた。普通の戸建の物件などで続き間になっているのを各部屋にしているだけだった。
あれは誰も住みたいと思わない・・・というか紹介したくない。紹介したお客様も思わず苦笑いして、その次の物件で決めてもらった。
だめだこりゃ。