思わせぶりな窓を持つマンション | フシギ不動産日記

思わせぶりな窓を持つマンション

ちょうど繁忙期の頃だったと思う。

その頃はすでに斡旋の部署ではないところに異動していた。しかし、斡旋係に

いたころの経験を買われ、その日だけ斡旋係の手伝いをすることに。

初めて行くマンション、そして久しぶりに斡旋することでいっぱいいっぱいに

なってたことを覚えている。

鉄骨5階建のマンションの5階の部屋。大学入学に合わせた一人暮らしの女の

娘にはちょっと厳しそうな概観の物件。

そんな物件に母と娘で部屋を見に来ていた。

5階まで連れて、部屋を開け、物件台帳のコピーを持って説明を始める。

彼女たちは、聞きながらも各部屋を見て回っていた。

私は、私自身の最低ラインの条件をクリアしない物件は勧めない斡旋方法をと

っていたので、洗濯機パンが無いことに気付いてからあまり積極的に勧めよう

としなかった。

そんな思いを察知してか母親が、

(母)「洗濯機は部屋にある(廊下の)ここにおいて大丈夫ね。

(娘)「うん

お母さんがそう言うならば問題ないか・・・(ふぅ)

(娘)「5階だから見晴らし良いね!

(母)「ホント、窓開けてみようか。

・・・と、おもむろに窓を開けると・・・

(母)「きゃ~!

ベランダがあると思いきや、窓の先にあるのは腰までの高さしかない柵。

しかも、昔のタイプの鉄パイプでできた今にも壊れてしまいそうな感じの錆び

た柵だ。もちろん、その間からは十数メートル下に見える地面。

正直、自分で見ても一瞬足がすくんでしまった。事故が起きる、絶対事故が。

3人顔を合わせて、

危険ですね。止めときましょう。

すぐに窓を閉め、次の物件を目指したのだった。

考えてみるとすでに住んでいる入居者はアレで大丈夫なんだろうか。

それが心配だ。