結局自信が無いカツ丼屋 | フシギ不動産日記

結局自信が無いカツ丼屋

秋口のことだった。

五十歳台の小太りの男性が来店した。

話を聞くと今度カツ丼屋を開きたいという。

移転という話ではないし、まず始めるならば場所だろうと私は判断し、

まず比較的人の流れが多い通りの物件を紹介した。

すると、その男性はこう言った。

こういうところは、味に自信が無いところが入るんだよ。うちは味に

自信があるから、ここじゃない。


よっぽど自信があるんだなと思い、すぐ近くの辺鄙な場所にハンバーグ

専門店で人通りの少ない場所で大繁盛している店を例に話を返した。

そうですね。すぐ近くのハンバーグ屋さんも沢山人が入っていますし、

味がよければ、人は入りますよね。


そう。

次の物件は道こそ入り込んでいるが、短大近くの物件。しばらく決まってい

なかったので家主様も家賃を下げてくれていた。

もともとお好み焼き屋だった物件だけに、本人の希望通りだった。その証拠

に物件を見終わった後、しきりに入居費用と入居時期を確認していた。

改めて連絡するということでその日は終わった。

一週間ほど経ってから、その男性から電話がかかってきた。

あの場所はやめておく、人通りが少ないよ。そして、家賃も安すぎる。

おかしい!!○○○駅前にいいところがあったから、そこにする


一方的に言い放つとすぐに電話を切った。

だいたいのお客様は、こういうとき「いい物件が見つかった」「引っ越すの

を辞めた」などある程度気を遣ってくださるが、その男性は散々ケチつけて

あたかもこちらが悪いかのようにして言っていた。

そのときにまず


「残念ながら、この人成功しないな。」


と思った。


さらに数週間経ってから、その駅付近を通ったとき偶然その男性を発見。

駅から出て、真正面の物件だった。


私はすぐに確信した。



「結局、味に自信が無かったんだ。」


■ 目が点になるソースカツ丼
  http://allabout.co.jp/auto/touring/closeup/CU20040630A/index.htm
■ 行列ができる店の秘密
  http://www.bluestep.jp/mas.htm