とにかく安い物件に住みたい男 | フシギ不動産日記

とにかく安い物件に住みたい男

夏の日の午前中のこと。

某国立大学の学生が引っ越したいとやってきた。

来店カードに条件など記入して頂くのだが、それに書いてあったのが


【 間取り 】1DK / 【 予 算 】10,000円

私の担当する地域での1人暮らしの物件というのは平均で大体43,00

0円くらいだったので、どう考えても無理な相談だった。

しかし、一般物件(※1)に21,000円という物件を発見。

それをその学生に話してみると物件を見てみたいということだった。

さっそく家主様へ電話を入れ、物件まで鍵を持ってきてくれるそうなので、

そのまま物件へ向かった。

物件は国道沿いで外装は比較的キレイ(多分外装だけしなおしているっぽ

い)だった。しかしながら、五階建ての物件だからギリギリ階段無し、一

番安い部屋はその5階の一番奥の部屋だった。家主様は足が悪いからとい

うことで、一緒に行かなかったが5階まで必死で駆け上がり、そして5部

屋あるうちの一番奥の部屋に行こうとしたところ、5階は全部屋空いていた。

とりあえず奥から二番目の部屋を見てみた。

実はこの物件。部屋には風呂が付いておらず、各階ごと一番奥に風呂がある

という物件だった。・・・ということはこのフロアが全部開いているから

まぁその学生1人で利用できるということは私も学生も気付いていた。

最終的には一番奥の部屋が一番広かった(6帖のDKが6畳ほど)部屋は結構

きれいですぐに決めてくれた。しかし学生からこんな話があがった。



あの隣の部屋のエアコンをもらえないですか?




初めてだった。この物件は基本的にエアコンは付いていないだけに、前の入

居者の忘れ物をもらおうということで、そういう話を出したようだ。

私も家主様にそういう話をしたことがなかったが、とりあえず話すと快く受

けてくれた。

業者の手配、エアコン移設の立会い、エアコン移設請求書渡しなど斡旋手数

料(※2)ではもとが取れない仕事をしてしまった。それで、その学生がよ

ろこんでくれるならばと思ったけれども、ちょっと疲れたね。



部屋を借りる場合は、ビンボー魂を出し過ぎないように

その後のサポートがやり難くなります。


※1 一般物件:管理物件と異なり、自社で管理していない物件のことを言
う。家主が直接管理しているところもあれば、業者が管理している物件もあ
る。斡旋する立場からすると、物件によっては斡旋手数料が折半されること
もあるので、比較的勧めたがらない。

※2 斡旋手数料:通常一ヶ月分の家賃+一か月分の駐車料(税別)をいた
だく。家賃が40,000円で駐車料が8,000円であれば、48,000円(税別)を斡
旋手数料としていただく。今回のでいうと21,000円(税別)だった。