キレル男 | フシギ不動産日記

キレル男

すでに不動産会社を退職してから1年ほど経った頃の話である。

私はその年の3月に新築の物件に入居して快適に過ごしていた。

また、私も含め新婚の入居者が多かったため、ときどき会う隣人も感じ

の良い方が多かった。

当時301号室に住んでいたが、303号室にその問題の男は住んでいた。

ちなみに、303号室は彼と彼の奥さんと赤ちゃんの3人家族だった。

3階の住民の駐車場は一番奥にあるのだが、たまたま私の車の後ろについ

た彼は物件の敷地内に入ったにも関わらず、私の車をあおってブンブンエ

ンジンを吹かしていたので、それ以来「彼は危ない奴だ」と思っていた。

問題が起きたのはそれから半年も経っていなかったと思う。

平日の夜、すでにどの部屋も就寝している時間帯だった。

301号室はエレベータの隣の部屋だったので、エレベータが夜中に動い

て3階に到着するとなんとなく気配を感じることのだが、彼はその夜中に

帰ってきた。

おそらく鍵は持っていたのであろう。オートロックのドアを通ってエレベ

ータに乗ったから、そこまでは想像できる。

しかし、その後である。

ピンポーン

帰ってきたことを知らせるチャイムを鳴らしたのであろう。

ピンポーン

ピンポーン

ピンポーン





・・・返事がない。周りがあまりにも静かだからチャイムの音が確実に聞

き取れていた。





ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ、ピンポ・・・





怒ってるよ。奥さん起きてこないのかよ。






・・・?あれ、鍵持っているはずなのにどうしてそんなことするの?

そんなことを思っていると

ガチャガチャガチャ・・・バーン、バーン

そうか、中からチェーンが掛けられてるんだ。

するとさらに

ガチャガチャガチャ・・・バーン、バーン

ドーン、ドーン、ドーン

ギャシャーン





!!

割れた、割れた

301号室と303号室は全く同じ間取りなので分かるのだが、玄関の

隣に寝室の窓がある。その窓を割った音だったのだ。

ちょっと怖くなって最悪なことが起きないことを祈りながら気が付くと

眠っていた。

翌朝廊下から見てみると、案の定窓が割れており、ガラスの破片が散ら

ばっていた。

それから1週間経つか経たないくらいにその部屋は退去。

おそらく周りの入居者からのクレームなど含めての強制退去だったと

思う。

私自身不動産会社に居るときからすると数百人の入居者・お客様と会って

来たが、今回のようなことを見たのは初めてだった。


■ 悪徳大家さんがいれば、悪徳入居者もいる。
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