こんなこともあったな(vol.3)
繁忙期前のことだったと思う。
マイルームガイド (賃貸物件の情報誌)を見ての問い合わせがあった。当然のことながら、物件へ案内するための話をして、来店していただくことに・・・。
2時間後くらいに40代くらいの女性と20前後の女性がやってきた。おそらく誰もがその二人を見たときに「親子だな」と思うはずである。しかし、違ったのだ。
「彼女うちの店で働くの」
実は親子ではなく、経営者と従業員の関係だったのだ。来店カードの内容を見ると水商売関係の仕事をしているようだった。
私が所属していた会社は結構堅いところ(家主代理をしている手前)だったので、家賃の支払いが滞りそうな職種(アルバイト、水商売など)は入居申し込みすらできないのである。(今は知らないけれども)
しかし、私はまだ新入社員だったこともあり、そんなことも知らずに物件へ案内に出た。
物件は鉄筋コンクリート4階建(くらいだった)の2DK。しかしながら、3点ユニットバス※ということもありなかなか決まらない部屋でもあった。
従業員の女の子は笑顔も見せずに経営者の言うことにうなずくだけで、とりあえず物件は決まりそうな感じだった。事務所に戻ってすぐに申し込みを書いていただいて、入居審査を行なうための住民票などを持ってきていただく説明をした。
書類は翌日には揃えて持って来られたので、すぐに管理係へ入居申込書をFAX。約1週間(本当はそんなにかからないけれども)で審査の返事が返ってくる。
さらにその翌日、管理係の係長が私がいる支店にたまたまやってきた。
「例の水商売の女の子。審査厳しいそ。」
「えっ?そうなんですか?」
「水商売の女の子は逃げることがあるから・・・。うちは家賃の立替もするからリスクがあるやろ。」
「そうですね・・・。」
審査の条件が厳しいし、これは駄目かなぁと思っていたところ・・・。
「その女の子。美人?かわいい?」
「えっ?」
「ちゃかいさんがそういう風に思うのであれば、審査通しても良いけど・・・」
「????」
どうやら、男の心情としてかわいい女性や美人の女性の斡旋担当をした場合、延滞などあってもちゃんと入金を促す動きを一生懸命するらしいのだ。それを狙っての係長の一言だった。
「う~ん、かわいいほうだと思うんですけど・・・」
正直、タイプでもなかったのであまり気にしていなかったのだ。
結局、審査は通してもらい入居決定。あれから10年・・・もう退去しているだろうけれども、延滞など無かったかな?
※3点ユニットバス ひとつの部屋に浴槽、洗面、トイレが一緒のもの