ダブルブッキングさせる男 | フシギ不動産日記

ダブルブッキングさせる男

会社の物件台帳(※1)には支店エリアと支店エリア外の「管理物件用」

と「一般物件用」とがある。

私たち賃貸斡旋係は時間があるときには、他社の空き物件やどこにも管理

を任せていない物件を探して、一般物件台帳の内容を更新しているのであ

る。


さて、1月下旬の繁忙期のピーク直前のこと。女子大の新入生が部屋を探

しに親子で来店された。

私はその女子大近くの管理物件は無かったので、前述した一般物件台帳か

ら家主様の敷地内にある女性専用の物件を見つけた。物件台帳には家主様

の連絡先も書いてあったので、家主様へ電話をして鍵を借りた上で部屋を

案内(そのとき2部屋空いていることを確認)。そして、申込みをいただ

いたので家主様にも報告して、契約書を作成し、入居に必要な費用も入金

があり、もう入居を待つだけだった。



・・・ところがである



ある日突然家主様から電話がかかってきたのである。

スミマセン。あの部屋お貸しすることができません。

えっ?どうしてですか?

○○地所さんがもう決められていたみたいです。

あの物件は○○地所さんが管理されているんですか?

そうなんですよ。

でも、2部屋空いていたんですよね。

2つとも○○地所さんに決めてもらいました。

その話をすぐ支店長に報告したところ、隣の席の同期(・・・と言って

も2つ年上)の彼がこう言った。

どうして、始めっから○○地所さんに連絡せんかった?

どうしてって・・・

話は少し戻るが、一般物件の台帳の下にある家主様の欄には他社の管

理物件の場合、当然のことながら同業者の連絡先が掲載されることに

なる。

ところが、今回の物件はその欄に家主様の連絡先が記載されていた。

しかも、それを記載していたのは紛れも無く同期の彼だった。

私は心の中で思った。



あんたがあの一般物件の担当だろう、

他社の管理物件だったら、

それもちゃんと記載してろ!!



彼は大卒、私は専門卒で入社した同期の仲間のはずだったが、私が年下

で立場的に弱いと思ってか、ことあることに私のせいにばかりしていた

ので以前から不信感を持っていた。そんな中、今回のことがあったのだ。

今回は私自身だけではなく、お客様に迷惑がかかるのでもともと仲が良

かった○○地所さんに事情を説明したところ、とんでも無い答えが返っ

てきた。


2部屋のうち、1部屋は○○くん(同期の彼)が決めてくれたよ。


!!

やられた!!奴にはめられた!!


○○地所さんの管理物件で同じ家賃の部屋を紹介してもらい、お客様に

も散々謝罪して上で納得した形でその部屋に入居していただいた。

それ以来、彼と私の確執は激しくなっていた。

それからしばらくして、私は本来志望していたのシステムの部門へ異動。

彼はそのままその支店で斡旋を続けていたが、何の因果か会社を辞める

月が同じだった。



「そんなところまで、

 ダブルブッキングしなくても

     いいんだよ!!」



あぁ~今でもムカつく!!


※1 物件台帳:物件の情報が掲載されている台帳のこと。慣れてくると
頭の中に物件台帳がインプットされる。私はワンルームだけは入っていた。