闇の中の部屋
夏のある日、某人材派遣会社様から物件指定で契約を頂くことになった。私は直接担当ではなかったが、支店長から指示を受けてあとの契約処理を行うことに。
契約になった物件は某大学から山方面に5,600mほど上がったところにある物件である。
すでに退去になった部屋で101号室と102号室の契約になっていた。
そんなある日、支店長から
「部屋の準備ができたかどうか確認してきて。よかったら鍵ももらってきて。」
ほかの不動産会社はどうか知らないが、その不動産会社は基本的に契約してから1週間かけて、畳の表替えやクロスの張替えなどを行なっていた。
私は普通に指示通りにその物件へ向かった。
・・・ 出発から20分後にその物件に到着。業者さんがクロスの張替えをしていた。
「お疲れ様で~す。○○センターで~す。」
いつも通りに部屋の奥にいた業者さんに聞こえるように挨拶をしながら、中を見た。
「・・・あっ・・・真っ暗・・・」
そうです。この部屋(101号室)というか、1階は南側にある土地が高いため必然的に陰になってしまい、昼間でも電気をつけないといけないくらい真っ暗な部屋だった。こりゃ健康に悪いだろうなぁなんて思いながら、
「いつくらいに全部終わりますか?」
「今日中には終わります。」
「鍵は何本ありますか?」
「2本あります。」
「じゃあ、1本○○支店に持っていっていいですか?」
「いいですよ。」
「作業が終わったら、残りの1本○○支店に持ってきてもらえますか?」
「わかりました。」
一連の話が終わって、玄関にある下駄箱の上にあった鍵を取ろうとしたときに一枚の紙があった。それは、退去の際に管理係が業者さんに物件名や部屋番号、鍵番号などを知らせるための紙だった。そこには退去理由も書いてあった。私はそれを見て怖くなった。
・・・退去理由
「本人死亡のため」
やはりこんな部屋だと何らかの問題が出てくるのかも・・・。