フシギ不動産日記 -3ページ目

こんなこともあったな(vol.1)

賃貸斡旋は売買とは違い、案内する年齢層は幅広いのは、考えて

みれば当然のこと。就職で部屋を探す人、大学入学で部屋を探す人、

転勤・結婚といろいろなパターンがある。

そんなお客様のほとんどは、1人で部屋を探しに来られる。(特に

私が居た支店は回りに大学などがあったし、交通の便がよかったの

で)そんなお客様をクルマに乗せて案内をする。つまり、2人で居

る時間が多いのである。

ちょっとしたタクシーの運転手のような感じで運転席と後部座席で

いろいろと話をしながら物件を回っている。

趣味の話やその土地のことなどいろいろな話をしているけれども、

中には

彼女居ますか?」(看護婦)

合コンセッティングしましょう」(ショップ店員)

なんてことも聞かれてしまう。

まぁ、ショップ店員のほうは先輩の報告したら、すぐに電話させられ

その日の夜には女の子3人と会社の先輩2人、同期2人と私の8人で

合コンをしていた。(しかも、私が女の子を迎えに行く係)

なぜ同期(・・・と言っても、私は専門卒、彼らは大卒で2つ年上)

の2人が入ったか分からないが、当時その中で最年少の21歳だった

私はひたすら注文や皿の片づけをしていたのを憶えている。

その後逃げるように女の子2人と先輩2人が居なくなった。

私は残された女の子を車で送った(もちろん何をするわけでもなく)。

翌日すぐに、私が斡旋担当していた女の子に電話して何も無かったか

確認した。

・・・賃貸斡旋していると面白いイベントはできるのはいいんだけど、

メンバーによっては非常に疲れる。

どうしても折半したい不動産業者

おそらく普通の方は知らないであろう業者間のやりとりの話である。

夏のある日。

ファミリー向けの物件を探しているお客様のために部屋を探すことに

なった。

しかし、管理物件にお客様が望む物件が見当たらなかったので、同業者

が管理している物件を斡旋することに・・・。

一般物件(※1)の場合、その業者の管理物件の場合はたいてい斡旋手

数料の一ヶ月分をもらえるのだが、その物件が管理物件ではない場合に

斡旋手数料を折半することがある。(一般物件だけれども、その業者の

専任物件(※2)のときに多い)今回は後者のケースになっていた。

前もって案内する時間を確認して鍵を借りようとしたところ、

家主さんが持っていますので、私も立会いに行きます。

では、よろしくお願します。

と翌日の夕方・・・たしか17時くらいにお客様と物件の前に到着。

物件は支店から徒歩5分くらいの場所だった。

そこで先ほど約束した同業者を待っていた。5分すぎ、10分すぎ、20分過ぎ

たところで、しびれを切らしてお客様と一緒に家主様のところへ行って、家

主様立会いで物件を見るようにした。

各部屋を家主様の説明を受けながら、回っていると・・・



バタン、ドタドタドタドタ・・・、はぁはぁはぁ。


そう、今ごろ来たのです。多分40分くらい過ぎていたでしょう。

案内も終わりかけていたから、今ごろ来てもと言う感じ。

すみません。遅くなりました。

お客様の手前特に何も言いませんでしたが、帰り際にその業者さんこう言って

いきました。



斡旋手数料、折半ですからね。


そこまでして折半して欲しいの。もういいよ。



※1 一般物件:管理物件と異なり、自社で管理していない物件のことを言
う。家主が直接管理しているところもあれば、業者が管理している物件もあ
る。斡旋する立場からすると、物件によっては斡旋手数料が折半されること
もあるので、比較的勧めたがらない。

※2 専任物件:管理物件ではないが、家主が一定の業者にだけ斡旋をお願
いしている物件。他業者が斡旋しようとしても、その業者を通してでないと
斡旋することができない。

冬の風物詩

賃貸斡旋での繁忙期というのは、ご存知の通り2月~3月が主である。

しかし、それは一般の方に当てはまることであって、学生が多かった

私が居た支店は12月には大忙しであった。

大忙しの理由・・・そう推薦の合格発表があるからである。

合格者招集日がある日には各業者が校門で自社のアパート・マンション情

を印刷した冊子を持って待っていた。

私が担当した女子大&女子短大は4社9名ほどで合格者を待ち構えていた。

私が居た会社と他業者2社は一緒に飲みに行くくらい仲が良かったので、

色々情報交換をしながら待っていたが、曲者の一社だけはどうやら現役

女子大生を利用した「先輩作戦」をしようと打合せをしていた。

・・・さて、父兄と女子高生が校内から出たところを、

おめでとうございま~す

と言いながら、荷物を持って両手がふさがっている女子高生の両手の

上に各々の冊子を置いて、

よろしくお願しま~す

と言う。父兄と女子高生はその光景に驚いて目が点になっていて、や

ってる私は結構面白かった。

そんな中、曲者業者は冊子に五円玉をテープでつけて

ご縁がありますよ~に

と言いながらも、先輩女子大生が面倒を見るかのように配っていた。

私はこのときしか、コレに参加しなかったが毎年コレをしているようで

中の良い業者は

コレをすると繁忙期っていう気がする

って言ってた。

分かる気がする。


今度入学する学生の方々はこういうことがあるかも知れないよ。

とにかく安い物件に住みたい男

夏の日の午前中のこと。

某国立大学の学生が引っ越したいとやってきた。

来店カードに条件など記入して頂くのだが、それに書いてあったのが


【 間取り 】1DK / 【 予 算 】10,000円

私の担当する地域での1人暮らしの物件というのは平均で大体43,00

0円くらいだったので、どう考えても無理な相談だった。

しかし、一般物件(※1)に21,000円という物件を発見。

それをその学生に話してみると物件を見てみたいということだった。

さっそく家主様へ電話を入れ、物件まで鍵を持ってきてくれるそうなので、

そのまま物件へ向かった。

物件は国道沿いで外装は比較的キレイ(多分外装だけしなおしているっぽ

い)だった。しかしながら、五階建ての物件だからギリギリ階段無し、一

番安い部屋はその5階の一番奥の部屋だった。家主様は足が悪いからとい

うことで、一緒に行かなかったが5階まで必死で駆け上がり、そして5部

屋あるうちの一番奥の部屋に行こうとしたところ、5階は全部屋空いていた。

とりあえず奥から二番目の部屋を見てみた。

実はこの物件。部屋には風呂が付いておらず、各階ごと一番奥に風呂がある

という物件だった。・・・ということはこのフロアが全部開いているから

まぁその学生1人で利用できるということは私も学生も気付いていた。

最終的には一番奥の部屋が一番広かった(6帖のDKが6畳ほど)部屋は結構

きれいですぐに決めてくれた。しかし学生からこんな話があがった。



あの隣の部屋のエアコンをもらえないですか?




初めてだった。この物件は基本的にエアコンは付いていないだけに、前の入

居者の忘れ物をもらおうということで、そういう話を出したようだ。

私も家主様にそういう話をしたことがなかったが、とりあえず話すと快く受

けてくれた。

業者の手配、エアコン移設の立会い、エアコン移設請求書渡しなど斡旋手数

料(※2)ではもとが取れない仕事をしてしまった。それで、その学生がよ

ろこんでくれるならばと思ったけれども、ちょっと疲れたね。



部屋を借りる場合は、ビンボー魂を出し過ぎないように

その後のサポートがやり難くなります。


※1 一般物件:管理物件と異なり、自社で管理していない物件のことを言
う。家主が直接管理しているところもあれば、業者が管理している物件もあ
る。斡旋する立場からすると、物件によっては斡旋手数料が折半されること
もあるので、比較的勧めたがらない。

※2 斡旋手数料:通常一ヶ月分の家賃+一か月分の駐車料(税別)をいた
だく。家賃が40,000円で駐車料が8,000円であれば、48,000円(税別)を斡
旋手数料としていただく。今回のでいうと21,000円(税別)だった。

嘘をついて帰りたがる女

繁忙期のこと。

支店近くの女子大に入学する女の子とその家族が部屋を探しに来ると、数日

前に連絡があった。

あいにく、会社の管理物件ではその女子大の近くの物件は満室になっていた

ので、仲の良い同業者さんの管理物件である新築の物件鍵を借りていた。

予め時間が分かっていたので予定通りにその物件を案内。

その物件はオートロックで50戸以上もある大きな物件で、その女子大から

比較的近いし、物件と女子大の間にはスーパーもあるし、交通の便も良いし、

女性の1人暮らしには持ってこい。決めるしかないと思っていた。

ところが・・・ところがである

部屋を見終わった後、わざとらしい芝居で女の子のお父さんが、

娘の体調が悪いからスミマセンが帰らせてもらっていいですか?

いいですよ。娘さん、大丈夫ですか?

いくら芝居とは言え、お客様に対してちゃんと対応するのは礼儀だと思って

そのときは最後まで案内を済ませた。

当然のことながら、帰りに借りた鍵を業者さんのところへ返しに寄って、

その業者の中の良い方と話していた。

途中に逃げるように帰っていったんですよ。娘さんの腹痛を理由に・・・

そりゃ、失礼な客だね。あれ以上の物件はうちにも無いよ。

ですよね。うちにもないですもの。

と話していると、



スミマセ~ン



そう、先ほどの家族がやってきた。

あっ、○○さん(さきほど斡旋したお客さん)だ。

思わず反応してしまった。

どうやら、私に気付いたらしくとてもバツが悪そうだった。

きっと、同じ物件を紹介されると思いながら、私は会社へ戻った。

ここでお願い。

変な嘘をついて逃げるようはやめよう

・・・業者の間でもお客様の情報を流しているかも知れないし(笑)

出たがりの家主

繁忙期で支店の斡旋エリアではなく、本社エリアの物件を斡旋することに

なったときのこと。

モノレール沿いにある大学に入学する女の子の部屋を探しに来られた親子

の斡旋担当になった。ちょうど当月完成したばかりの新築の物件を斡旋す

るよう管理係から依頼があったので、さっそくその親子を連れて案内に出た。

なぜか、私たちが来るのを分かっていたかのように家主さん(女性)が待っ

ていた。

そして、案内をし始めたのである。

「各部屋明るくなるように設計してもらったの。ほら明るいでしょう。」

「収納もちゃんとあるでしょう。ほら広~。い」

斡旋担当からしたら、説明がさせてもらえない。この物件のいいところ、

悪いところがお客様に教えることが出来ないという辛い状況。

まぁ、そのあたりなら百歩譲って許せるけれども、そんな話が延々と続き

挙句の果てには、


このビルは1億円かけて建てたのよ。すごいでしょ。



連れてきた親子は完全にひいていた。それは当然だろう。



だって、私もひいていたから・・・。



当然のことながら、その物件は決まらなかった。



家主さん、あんた出すぎ!

友だちがいない男

当時所属していた支店が某大手メーカーの工場近くということもあり、

それなりにその社員を斡旋することがあった。

もちろん、私も斡旋する機会があった。そのときの話である。

独身男性で歳は当時の私(21歳)より少し上だったと思う。そんな彼に

支店の裏にある1Kの物件を勧めたところ、気に入っていただきスムーズ

に契約、入居まで至った。その期間10日ほどである。

ある日のこと、私は物確(※1)に出ていたときに、その彼が来店したら

しく、何か言いたげにしていたが、私が不在であることを知るとそのまま

去ったようだ。

物件自体ちょっと古め(築10年)だったから、何かクレームかも・・・

とちょっと心配しながらも、過去の顧客シートを確認して彼の住む部屋へ

向かった。

先に書いていたが、支店のすぐ裏なので1分後には彼の部屋の前に立って

いた。

(ピンポ~ン)○○センターですけれども!

(ガチャ)

あぁ、お久しぶりです。

お久しぶりです。△△さん何かありましたか?

あぁ、ちょっと中に入ってもらえますか?

・・・部屋の電気か?水漏れ?、浄水器の設置方法が分からない?

いろいろ考えながら部屋に入った。

彼は入ってすぐに立ち止まり、私に向かってこう言った。


電話買ったんですよ。


・・・そう、彼はそれだけを伝えに来店し、私を呼んだのである。

私は心の中で、そっとつぶやいた。


あなた、友だちいないんだね。



※1 物確:物件確認の略。初めて斡旋する物件など予め説明できるよう
   下見や物件の状態を確認することを言う。

結局自信が無いカツ丼屋

秋口のことだった。

五十歳台の小太りの男性が来店した。

話を聞くと今度カツ丼屋を開きたいという。

移転という話ではないし、まず始めるならば場所だろうと私は判断し、

まず比較的人の流れが多い通りの物件を紹介した。

すると、その男性はこう言った。

こういうところは、味に自信が無いところが入るんだよ。うちは味に

自信があるから、ここじゃない。


よっぽど自信があるんだなと思い、すぐ近くの辺鄙な場所にハンバーグ

専門店で人通りの少ない場所で大繁盛している店を例に話を返した。

そうですね。すぐ近くのハンバーグ屋さんも沢山人が入っていますし、

味がよければ、人は入りますよね。


そう。

次の物件は道こそ入り込んでいるが、短大近くの物件。しばらく決まってい

なかったので家主様も家賃を下げてくれていた。

もともとお好み焼き屋だった物件だけに、本人の希望通りだった。その証拠

に物件を見終わった後、しきりに入居費用と入居時期を確認していた。

改めて連絡するということでその日は終わった。

一週間ほど経ってから、その男性から電話がかかってきた。

あの場所はやめておく、人通りが少ないよ。そして、家賃も安すぎる。

おかしい!!○○○駅前にいいところがあったから、そこにする


一方的に言い放つとすぐに電話を切った。

だいたいのお客様は、こういうとき「いい物件が見つかった」「引っ越すの

を辞めた」などある程度気を遣ってくださるが、その男性は散々ケチつけて

あたかもこちらが悪いかのようにして言っていた。

そのときにまず


「残念ながら、この人成功しないな。」


と思った。


さらに数週間経ってから、その駅付近を通ったとき偶然その男性を発見。

駅から出て、真正面の物件だった。


私はすぐに確信した。



「結局、味に自信が無かったんだ。」


■ 目が点になるソースカツ丼
  http://allabout.co.jp/auto/touring/closeup/CU20040630A/index.htm
■ 行列ができる店の秘密
  http://www.bluestep.jp/mas.htm

携帯電話に慣れすぎた女

近年営業担当者にとって携帯電話は必須アイテムである。

そんな携帯電話でのちょっとした話。

営業のYさん毎日出勤したら、その30分後に会社を出るとほとんど戻って

くることが無いほどの忙しい人である。

その日もYさんは9時過ぎには営業に出ていた。

ふと目をやると、Yさんの携帯電話が置きっぱなしになっていた。

女性社員は何を思ったか、おもむろに受話器を持った。

短縮ダイヤルを押していた。



リリリリリリリ~ン、リリリリリリリ~ン・・・



そう、そうである。彼女は携帯電話を忘れたYさんに電話で知らせよう

としていたのである。

もっと、状況を的確に把握しようよ。

トラの威を借る男

ある秋のヒマでヒマでたまらなかったある昼下がりのこと。

その男は1人でやってきた。

どうやら部屋を探しに来たらしく、来店は1度目ではないらしい。

本来の斡旋担当は外出しており、別の女性社員が変わりに対応していた。

※本当は関西弁でのやりとり

住民票持ってきてるんだから、入居させろよ

審査があるので、まだできません。

前来たとき、住民票持ってきたら入居できるって言ってただろ!!

審査があるので、申し訳ありませんが、まだできません。


なに~、俺の親父は○○組の△△だぞ!


おそらく、自分の言っていることが通じなくて、思わずそんなことを発し

たのだろうが、あくまでもその地方だけの話。私はそれが誰なのか全然分

からなかった。

そのとき居たのは滋賀の某不動産会社。かなり田舎だったからそんなこと

もあったんだろう。

担当した女性社員もキョトンとしていた。

いまどきそんなこと言うって、かなり恥ずかしい。